科学捜査研究所元職員によるDNA型鑑定に係る不適切事案に関する公安委員会における指摘(概要)
1 対象となる会議
令和7年1月16日、同3月13日、同5月29日、同7月3日、同8月7日、及び同28日に開催された各会議(合計6回)
2 各委員による指摘(概要)
⑴ 全般
・DNA型鑑定の信頼を揺るがす、極めて重大かつ深刻な事案である。DNA型鑑定は、科学的に担保された捜査の基礎であり、DNA型鑑定結果が信用できなければ、警察捜査の信用失墜にもつながるものである。
・なぜ、これまで気付かなかったのか。本件事案が、7年間という長期にわたり発覚しなかったという状況を踏まえると、当該職員による倫理観の欠如といった点のみならず、組織的な対応のあり方にも問題があったのではないか。
・非常に重大で深刻な事案だと言わざるを得ない。
・科学者としてあり得ないことであり、一線を踏み越えているのではないか。
・本件事案は、県民の信頼を損ねる重大なものであり、失った信頼を取り戻すことは簡単なことではない。調査を尽くしたうえで、それに基づく再発防止のための取組を徹底して推進するなどして、県民の信頼を取り戻す必要がある。
⑵ 事案の調査等
・当該職員が行った鑑定や不適切な取扱いの内容等について、当該職員の動機も含め、徹底した調査をするように。
・こういった重大な事案が発生した場合は、詳細に調査をし尽くすことが重要であり、そのための調査体制を構築するように。
・鑑定件数が多く、調査の対象は膨大であるが、捜査や公判への影響の有無も含め、疑念が残らないよう、丁寧に調べるように。
・調査の方針や状況、結果については、公安委員会に定期的に報告し、公安委員会からの指示等に基づき対応するように。
・残存している鑑定資料の再鑑定も行うということであり、その作業には時間もかかると思われるが、徹底して確認するように。また、再鑑定により当該職員の鑑定と結果が異なった場合、その後の捜査に影響がなかったかが重大な関心事となるので、その点も確実に調査し、公安委員会に報告するように。
⑶ 事案の発生要因
・事案の発生要因を、様々な角度から把握するように。
・当該職員に対する上司による指導について、その指導が適切に行われていなかったなどの問題もあったのではないか。
⑷ 捜査・公判への影響
・もし仮に、捜査や公判への影響が認められた場合は、その対応についても、詳細に検討するように。
・当該職員による不適切な取扱いについて、捜査や公判への影響がなかったのであれば、そのように評価したことを丁寧に説明し、理解を得ることが重要である。
⑸ 再発防止策
・本件事案が、7年以上にわたって発覚しなかったことを軽視することはできない。調査結果を踏まえ、鑑定の取扱いをより厳格にしたり、職員の倫理観の問題を踏まえた取組を実施するなど、同じことが二度と起きないよう、徹底した再発防止策を講じるように。
・本件事案の発生要因は、当該職員の倫理観の欠如によるものとは思うが、長期間にわたって上司が気付いていないなど、組織の業務管理の面で改善を要する問題もあるのではないか。その双方について、真に実効性のある再発防止策を検討するように。
・DNA型鑑定作業を一人で実施するのであれば、それに応じた再発防止策の検討が必要なのではないか。例えば、本件事案を踏まえると、作業手順の中で、電気泳動検査結果を印刷する際に、実際のデータから直接印刷させ、それを他の職員が確認する仕組みにしなければ、不適切な取り扱いを防ぐことはできないのではないか。
・同僚や上司が作業において不正しないか常時監視することは非現実的なのではないか。体制的に無理なことを制度化すると、かえって問題が生じてしまうおそれもあり、作業の各段階ごとにダブルチェックすることが有効ではないか。
・再発防止策は、調査結果を踏まえた、不適切な取扱いのそれぞれの行為に応じた実効性のあるものとするように。また、鑑定担当者の意見も踏まえた、現実的なものとするように。
・再発防止のため、科学捜査研究所の業務の進め方や体制強化についても、しっかり検討するように。
⑹ 当該職員の処分等
・当該職員の処分は厳正に行うように。
・当該職員は免職とする方針で検討中とのことであるが、不適切な取扱いが長期間行われ、件数も多いことからすると、相当であると思う。
・処分の公表に際しては、DNA型鑑定分野は専門的内容も含んで難解であるため、DNA型鑑定の基本的内容についても解説するなど、正確に理解してもらえるよう説明を尽くすように。
・本件事案は、昨年(令和6年)10月から様々な調査や検討を行ってきたことにより、処分や公表までに時間が掛かっている。それ自体は致し方ないと考えているが、その時間が掛かった事情についても、丁寧に説明するように。








